音につかまる
ぼくをつかまえる音がある
その音は聞こえてくる音全体に対してほんのわずかな部分
そこだけ切り取られて だんだんと際立ってきて くりかえして聞こえてくるようになる
ぼくのあたまのなかで音がはね返り 響きわたる
鳴りやまない
大きくなったり小さくなったりしながら ぼくにせまってくる
ぼくは すくんで 逃げることも立ち向かうこともできずに そこに立ち尽くしている
音なのに視界もからだもうばわれた
焦点が絞られたり開放されたりする感じ
映像を近づけたり遠ざけられたりするような感じもする
ぼくはその音から逃げるように もがく
かき消すように大きな声をだす
ぼくは音のない世界は知らない
音はいつもそばにある
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