誰も言い切ることなんてできない
おかあさんと離れて初めての集団生活
目とか耳とか肌がいろいろ感じる
いろんなにおいを感じる
いろんな視線とか感情を感じる
いろんなものが入り交じる空間
ぼくはここにいたくないって思った
でも「とにかく行く」「行くもの」だったから毎日通った
好きな先生と遊ぶことを楽しみに通った
「せんせいいるかなー」って言いながら通った
感じたくないことを感じながらぼくはそこにいた
つらくて泣いても叫んでもぼくがなにしたって
なにも変わらないからぼくは変われない
そこにいることも変わらない
ぼくを迎えにきたおかあさんの目は不安そうで
いつも先生に謝ってた
ぼくはおかあさんの笑顔に包まれて安心して甘えたかった
だけどおかあさんは怒っているような苦しいようなさみしい目をしていて
ぼくはどうしようもなく こころがぎゅうーと苦しくなってまた泣いた
ひとは「こういうものだ」と思い込んでいたり 思い込まされていることがある
でもこころが「ちがう」と騒ぐと苦しくなるんだと思う
あのころの記憶はありありと ふるまいは根強くぼくに刻まれている
あのとき 「とにかく行く」「行くものだ」と通い続けた日々が良い経験だなんて
きっと誰も言い切ることなんてできない
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