記憶の早急手当て1/2
ぼくは泣いた
あることが ぼくのきもちを急にはげしく変えてしまったから
出来立ての嫌なエピソードは
そこに見えた光景
あのひとの空気 ことば そぶり
その時のぼくのきもち…
そういうものがぼんやり ばらばらにぼくの中をさまよい
不意にぼくをつかまえて また泣かせるんだ
もし いまぼくが泣いてしまったら
ぼんやりとしたどれかにつかまって ぼくは泣かされている
確認せずにはいられないぼくが 何度もリハーサルして
ぼんやりとしたものが はっきりと嫌な記憶になってるのあるじゃない
だからぼんやりしているうちに
怒ったり 笑ったりしないで
無視したり やり過ごしたりしないで
ここはちょっと急いで
でもやさしく 的確に
さっと 安心できる手当てをして ぼくを助けて
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