見え方が引き起こす問題

Sensitivity , 2010 - 2024

小さいころ ぼくの見ている世界はいつもまわりが黒くかげっていた
両手で双眼鏡をつくってのぞいたような見え方で
近くのまわりが見えにくかった

そのころのぼくは何が何だかわからない世の中に
すごくビクビクして いつもパンパンになった風船みたいな状態
いつでも どこでも きっかけがあれば簡単にぱんっと割れた

そんなぼくの前に ひとは急に視界をふさぐように入ってくるから
それはもう跳びあがるほどびっくりして
パンパンだった風船は そのたびにぱんっと割れた

ぼくは大慌てで逃げようとして ぶつかってしまったり
押しのけたり はたいたりしてしまった

はじけて散り散りになった ぼくのいろんなきもちとからだは行き場のないまま
ぼくという存在とぼくの行動は浮き彫りになった