読み聞かせ
ぼくがすごく小さかったころ
おかあさんはよく絵本を読んでくれた
おかあさんはすごい抑揚をつけて読んだ
ぼくはまだ甘っちょろかったし
おかあさんはただのどしろうとだった
ぼくは抑揚にふりまわされる なんともいえない感じを
足をえいえいと曲げ伸ばししたり
バタバタして表現するしかなかった
おかあさんは そんなぼくをおおよろこびしていると思って 抑揚をエスカレートさせた
いま ぼくは その絵本を見つけると隠す
おかあさんは思う
あの読み聞かせはちがったなって
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