見え方が引き起こす問題
小さいころ ぼくの見ている世界はいつもまわりが黒くかげっていた
両手で双眼鏡をつくってのぞいたような見え方で
近くのまわりが見えにくかった
そのころのぼくは何が何だかわからない世の中に
すごくビクビクして いつもパンパンになった風船みたいな状態
いつでも どこでも きっかけがあれば簡単にぱんっと割れた
そんなぼくの前に ひとは急に視界をふさぐように入ってくるから
それはもう跳びあがるほどびっくりして
パンパンだった風船は そのたびにぱんっと割れた
ぼくは大慌てで逃げようとして ぶつかってしまったり
押しのけたり はたいたりしてしまった
はじけて散り散りになった ぼくのいろんなきもちとからだは行き場のないまま
ぼくという存在とぼくの行動は浮き彫りになった
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