山くだり
山の頂上にいる
ぼくは はやくくだりたくてうずうず
おかあさんは言った
いいですか
くだりこそ ゆっくりしんちょうに
くだりをなめてはいけません
ゆだんしちゃいけません
あわてたり
ふざけたり
さわいだり
はしっちゃいけません
ぼくはおもう
なんだか長ったらしくて いまいちわかんないな
どんどん回転数が上がってきたぞ
行っちゃえ
ぼくはかけ下りる
「あっ こら」というおかあさんの声を背中で聞きながら ぼくははしる
楽しくなってきた
笑っちゃう
あははははーうひひひひっーきゃはははーぎゃははははーあれあれれー
ぼくは止まらなくなる
足が止まらない
足にからだが追いつかない
いや からだに足が追いつかない
転んじゃうかもしれない
コントロールできない
こわいよー
ぎゃぁー
「だからいったでしょうがぁー」というおかあさんの怒鳴り声のような 叫び声がぼくをおいかけてくる
おかあさんはやっとの思いで ぼくに追いついて へなへなへとへと
おかあさんは いつまで追いかけることができるか 追いつけるか わからないと泣きながらひーひーと怒る
ぼくがテンションが高くなりすぎると こういうような事態になることが多い
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