大事なまわり道
ぼくは入り混じったものが苦手
それは食べ物でも同じ
たとえば 納豆とごはん
ぼくは納豆とごはんと別々にそれぞれのうつわとスプーンで食べていた
そんなぼくを横目にそしておかまいなしのおかあさん
おかあさんはぼくの横でごはんと納豆をまぜまぜしてもぐもぐ食べていた
ぼくが見ているとおかあさんはぼくをチロッと見て「食べて見る?」と言ったので ぼくはひとくち食べてみた
おいしかった!
この出来事がぼくの中で
「おかあさんがまぜまぜした納豆混ぜご飯をおかあさんが食べさせてくれるとおいしい!」ということになる
それからそういう風に納豆ごはんを食べるようになった
そしてしばらくしたころ おかあさんの食べさせかたとぼくのここの部分が食べたいという思いがぶつかる
お互いに苦々しくもんもんとした思いをしながらも しばらくその食べるスタイルは続いた
あるとき「そのとき」を狙っていたおかあさんが言った
「明日から納豆ごはんは自分で食べよう 自分の食べたいように食べよう」
ぼくは変わってしまうことに泣いた
いつもとちがうことに泣いた
泣きながらブーブー言いながら自分で食べた
だけど納豆ごはんはいつものようにおいしかったし なんと言ってもストレスフリーな感じがよかった
こうしてぼくは納豆ごはんをひとりで食べられるようになった
ぼくは納豆混ぜごはんをひとりで食べれるようになるまでにいろんな道をうねうねと歩く
とても時間がかかるし面倒なこと
でもおかあさんは ぼくにはそれが必要で おかあさんにも必要で「大事なまわり道」だと言ってくれる
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