やった

Sensitivity , 2010 - 2022

ぼくは知っている
その日おかあさんは足の小指を思いっきり角にぶつけた

ぼくにはわかる
あれは相当に痛い
いつもみたいに走れていないし 動きにキレがない

その日の夜 おかあさんは「おくすりのもうね」と言った
どうやったって敵わないから 最近は素直に飲むことにしていたけど
おかあさんから漂う負のオーラに
ぼくのチャレンジ心に火がついた

ぼくは走って寝る部屋に行こうとした
そんなぼくのこころの動きもおかあさんはお見通しだ

だけど小指が痛くて動きが鈍いおかあさん
いまだ!
ぼくは見事におかあさんの背中を抜いて逃げた
「せ、せなかをぬかれた」とおかあさんはくやしがった

ぼくはやった! ちょっとした達成感を味わった

でもくすりを飲むことにかわりはなかった