あたらしい朝
ぼくは小さいころ 朝も昼も夜もなかった
いちにちとかいろんな区切りがなかった
ぼくがわかっていたのは あかるいとくらいをくりかえしていること
ぼくは明るいいときに起きる出来事にほんろうされていた
「こわい」「たのしい」「さみしい」の気持ちがぐるぐる
なにがなにやらわからない
ずーっとこころがさわさわとしていた
こわくて見ていられない「こと」や「もの」「ひと」ばかりだった
なにがなにやらわからないまま あたりはくらくなって 疲れはててぼくはうとうとと眠る
夢でも明るいときの出来事をくりかえし見ていた
夢の中でも「こわい」「たのしい」「さみしい」の気持ちがぐるぐる
夢の途中で目がさめてしまったら もうどうしようもない混乱におそわれる
そしてまた 泣きつかれてうとうと眠った
くらいからあかるいがまたきて目覚めても つらく混乱したぼくのままだった
ずっと区切りなく つながって夢と現実の区別すらわからない
そういう日々だった
でもいまぼくは少し大きくなって
あかるいがきたら あたらしい朝がきたと感じるようになった
あたまとこころがさっぱりしている
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